年金・給付金・還付金は遺産分割や相続税・所得税の対象になる?


 ご家族が亡くなった後、被相続人が受給していた年金の未支給分(未支給年金)を受け取ったり、遺族年金を受け取ったり、高額療養費の還付金を受け取ったりする方は多いでしょう。

「このお金は遺産として分けるべき?」
「相続税の申告や、所得税の確定申告は必要なの?」

 こうした疑問を解決するためには、届いたお金を「3つのジャンル」に分けて整理するのが一番の近道です。

年金・給付金・還付金は
「3つのジャンル」で決まる!

 亡くなった前後に発生するお金は、法律や税金上の扱いによって、大きく次の3つのジャンルに分けることができます。

遺族が「自分の権利」としてもらうお金

 ご遺族の生活を守ることなどを目的として、公的な年金や保険から遺族に対して直接支給されるお金です。

ご遺族自身のお金となるものの種類

  • 遺族年金(寡婦年金、中高齢寡婦加算、死亡一時金を含む)
  • 労災の遺族給付(遺族補償年金、遺族補償一時金)
  • 葬儀等に対する給付
    • 国民健康保険の葬祭費
    • 健康保険の埋葬料
    • 労災給付の葬祭給付
       

相続・税金の取扱い

 これらは法律上、遺族固有の権利として支給されるものであり、相続財産には該当しないことから、遺産分割の対象ではありません。また、相続税・所得税は非課税とされています。

「故人がもらうはずだった年金等」を
遺族が受け取るお金(未支給年金等)

 日本の年金は後払い(偶数月の15日に前月と前々月分を振込)の仕組みになっているため、まだ受け取っていない年金(未支給年金)が発生します。

未支給年金等の種類

  • 老齢年金・障害年金・遺族年金の未支給分
  • 労災保険の未支給給付
     

相続・税金の取扱い

 法律上、「受け取る遺族の順位」が決まっており、基本的にご遺族自身の権利と考えられるため、遺産分割や相続税の対象外です1。ただし、年金の種類によって、受け取った遺族に所得税が課されるものがあるという注意点があります(後記の早見表参照)。

💡未払い給与について
 未払い給与については、国税庁の【死亡後に支給期が到来する給与】のページで、「本来の相続財産として、相続税の課税対象となる」旨が明記されています。例として、3月15日に亡くなって、3月25日に支給期・支払期が来る場合などが挙げられています。未支給年金の取扱いと異なるため紛らわしいですが、未支給年金については「受け取る遺族の順位」が決まっていることから、相続財産ではなくご遺族自身の権利として扱われる、と考えると区別できます。

「故人が払いすぎていたお金」として
後から戻ってくるお金(還付金)

 生前に、亡くなった方自身が支払っていた医療費や介護費用が、上限額を超えていたために後から払い戻される場合です。

還付金の種類

  • 高額療養費
  • 高額介護サービス費

相続・税金の取扱い

 これは先の2つのジャンルと違い、実態は「故人が返してもらえるはずだった、故人のお金(還付金)」という扱いです。そのため、基本的に預貯金や不動産と同じように、故人の相続財産になります2そのため、遺産分割協議で誰が取得するかを決める必要があり、相続税の課税対象にもなります。

相続放棄について

 上記のとおり、これらの還付金は基本的に故人の相続財産となるため、取得してしまうと相続放棄が認められなくなる恐れがあるので注意が必要です。

【一目でわかる】
年金等の「遺産分割・税」早見表

 先の3つのジャンルを元に、「遺産分割の対象か」「相続税または所得税がかかるか」を【〇】と【×】でまとめました。

  • 【〇】 = 対象になる / 手続きや配慮が必要
  • 【×】 = 対象外 / 気にしなくてOK
年金等遺産分割相続税所得税ワンポイント解説
【遺族が「自分の権利」としてもらうお金】相続放棄をしていても問題なく全額受け取れます。
遺族年金
(寡婦年金、中高齢寡婦加算、死亡一時金を含む)
×××
労災保険の遺族給付(補償年金・一時金)×××
葬儀等に対する給付×××
【未支給年金等】相続放棄をしていても問題なく全額受け取れます1
未支給の
老齢年金
××生前も課税対象だったため、遺族の所得税(一時所得)の対象になります。
未支給の
障害年金
×××3もともと非課税の年金なので、遺族が受け取っても非課税です。
未支給の
遺族年金
×××3亡くなった方が受給していた遺族年金です。こちらも非課税です。
未支給の
労災給付1
×××亡くなった方が受給していた労災給付です。こちらも非課税です。
【故人が払い過ぎていたお金が戻ってくるもの(還付金)】受け取ると、相続放棄できなくなる恐れがあります2
高額療養費・高額介護サービス費2×基本的に故人の相続財産です。
  1. 労災保険の未支給給付については、請求権者となる遺族がいない場合、相続人が請求できる場合があります。この場合は取扱いが異なることがあります。 ↩︎
  2. 被扶養者に関するものである場合、取り扱いが異なることがあります。 ↩︎
  3. 国税庁のホームページには、年金の種類を分けることなく、「この遺族が支払を受ける未支給年金は、その遺族の固有の権利に基づいて支払を受けるものですので、その遺族の一時所得の収入金額に該当します(これらの法律の規定により課税されないものとされているものを除きます。)」と記載されています。遺族年金や障害年金はそもそも非課税年金ですので、このカッコ書きの記載から、これらの未支給年金についても非課税と考えられますが、非課税となる未支給年金の種類を明示しているものではありません。そのため、遺族年金や障害年金の未支給年金を受け取り、その課税関係に疑義がある場合は、念のため税務署または税理士にご相談されることをお勧めします。
    【国税庁のホームページはこちら】 ↩︎

 

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