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相続発生直後に行う手続
大切な方が亡くなって最初に行う手続で、代表的なものを以下の表にまとめました。葬儀に関連する手続は葬儀会社、保険・年金の手続は行政窓口や社会保険労務士に相談するのが良いでしょう。自治体によっては、これらの手続をワンストップで案内してくれる「お悔やみコーナー」が設置されている場合もあります。
なお、財産を取得・処分したり、契約を変更・解約したりすると、相続放棄が認められなくなるおそれがあるのでご注意ください。
| 死亡届の提出 | 7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します。後の手続きのために、死亡診断書のコピーを数枚取っておくと便利です。 |
| 世帯主の変更届 | 亡くなった方が世帯主だった場合、14日以内に届け出ます(世帯員が1名になる場合などは不要です)。 |
| 年金・健康保険・介護保険 | 受給停止・資格喪失手続を行うほか、遺族年金等の給付手続を行います。 |
| ライフライン | 電気・ガス・水道の名義変更や解約を行います。 |
| 携帯電話 | ネットサービスの確認や二段階認証でスマホが必要になるため、相続手続きがひと通り終わるまで解約しないのがおすすめです。 |
| サブスク | 各種動画配信サービスなどのサブスクは自動課金が続くため、提供会社のサポート窓口に連絡して解約します。 |
| クレジットカード | ライフライン等の支払いに充てていた場合は相続人名義のカードや口座に変更するなどしてから、カード会社へ連絡し利用停止します。 なお、サブスク等の解約をせずにカードの解約をした場合、支払いは止まりますが、料金不払いとして請求を受ける可能性があります。そのため、サービス提供会社に連絡して解約手続を行うことをお勧めします。 |
相続人の範囲と法定相続分
相続手続を進める前に、まずは法律で定められた「誰が相続人になるか(法定相続人)」と「どれだけ相続できるか(法定相続分)」という基本を押さえることが大切です。
相続人の範囲と順位
亡くなった人の配偶者(夫や妻)は常に相続人となります。配偶者以外の親族は、以下の順位に従って配偶者とともに相続人になります。
- 第1順位:子(子が先に亡くなっている場合は孫)
- 第2順位:直系尊属(親や祖父母)
- 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪)
法定相続分
法律が定める相続分(法定相続分)は、以下のように決まっています。
- 配偶者と子が相続人の場合
- 配偶者 1/2 , 子 1/2(子が複数いる場合は等分)
- 配偶者と親が相続人の場合
- 配偶者 2/3 , 親 1/3(両親が存命の場合は等分)
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
- 配偶者 3/4 , 兄弟姉妹 1/4(複数いる場合は等分)
💡法定相続分の例外
遺言書がある場合は原則として遺言書のとおりに分けることになりますし、法定相続分と異なる割合で遺産分割協議をすることも可能です。
相続人の確定と戸籍収集の進め方
誰が法律上の相続人であるかを公的に証明するためには、戸籍謄本等を収集し、相続人を確定させる必要があります。これが相続手続きにおける最重要のステップです。
「出生から死亡まで」の戸籍が必要
銀行や法務局の手続きでは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍の提出を求められます。実は、戸籍というのは一人につき1通だけ存在するのではありません。改製や転籍、婚姻などにより、従来の戸籍から新しく作られることにより、一人につき4~5通の戸籍が存在することも珍しくありません。現在の戸籍以外の戸籍を、除籍や原戸籍と呼びます。
新しく戸籍が作られた場合、従来の戸籍に記載されている情報の全てが新戸籍に書き写されるわけではありません。そのため、全ての戸籍を集めなければ、過去に認知した子、誕生した子、養子縁組をした養子などの存在は明らかにならないのです。つまり、「出生から死亡まで」の戸籍が必要になるのは、全ての相続人を明らかにするためなのです。
さらに、被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍を取得した後は、相続人全員の戸籍を取得する必要があります。被相続人の子が亡くなっている場合など、さらに多くの戸籍が必要になるケースもあります。
戸籍の広域交付制度
メリットとデメリット
近年、「戸籍の広域交付制度」が始まり、戸籍収集が従来よりも簡便になることが期待されています。「戸籍の広域交付制度」とはどのようなものなのでしょうか。メリットとデメリットをまとめてみました。
メリット
本籍地が遠方であっても、最寄りの市区町村窓口でまとめて戸籍を請求することができます。そのため、全国に転籍を繰り返している被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍を収集する場合であっても、自分で戸籍を読み解いて全国の役所に郵送請求する必要がありません。
デメリット
- 【郵送や代理人による請求は不可】
郵送や代理人による請求はできません。そのため、仕事その他の理由で「請求者本人」が市区町村窓口を訪れることができない場合、この制度は利用できません。 - 【広域交付制度を利用可能な範囲】
広域交付制度によって取得できるのは、請求者本人、配偶者、直系尊属、直系卑属の戸籍のみです。つまり、兄弟姉妹や叔父叔母の戸籍の取得に当たっては、広域交付制度を利用することはできません。 - 【対象外の戸籍もある】
一部、広域交付制度の対象外となる戸籍もあります。 - 【即日受取できないことも】
請求先の役所から、本籍地である役所へ照会が必要になることがあるため、即日受け取ることができない場合もあります。その場合は、平日に2回は役所を訪れる必要があります。 - 【被相続人の戸籍を取得してからが本番】
広域交付制度によって被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めることは、相続手続においてやっとスタートラインに立った状態です。そこから、古い手書きの戸籍の内容を読み解き、結婚前に認知した子や養子縁組をした子の存在を漏らすことなく、全ての相続人を明らかにしなければなりません。また、被相続人の子(Aさんとします)が亡くなっている場合、Aさんの相続人を探すために、Aさんの戸籍についても全く同じ作業を経る必要があります。
💡行政書士などの専門家へ戸籍収集を依頼することのメリット
上記のデメリットを踏まえると、広域交付制度が始まったことによって、特定の人物の出生から死亡までの戸籍を集めることは簡便になったとしても、全ての相続人を確定させる手続全体が簡単になったとまでは言えない、ということがお分かりになるでしょう。特に、仕事などで平日に市区町村窓口を訪れる時間もない方には、そもそも広域交付制度を利用することができません。
行政書士などの専門家は、広域交付制度の代理はできませんが、依頼者様の代わりに戸籍を職務上請求する権限を有しておりますので、平日に役所へ赴いたり郵送請求したりするなどして戸籍を取得し、戸籍の内容を読み解き、相続人全員が確定するまで戸籍の収集を続けることを業務として行います。
広域交付制度の登場によって、行政書士などの専門家に戸籍収集を依頼するメリットがなくなった、とはまだまだ言えない状況というのが実情でしょう。
法定相続情報一覧図の取得がおすすめ
- 【法定相続情報一覧図の取得】
法務局で法定相続情報一覧図(法務局によって認証された相続関係説明図)を取得しておくと、その後の手続が非常にスムーズになります。 - 【銀行等での手続がスムーズに】
銀行等に戸籍の束を提出する必要がなくなるため、複数の銀行等で相続手続を同時に進められます。また、銀行等に戸籍の束を提出して確認してもらう必要がなくなるため、窓口での待ち時間や手続に要する日数の短縮が見込めます。 - 【遺産分割の事前準備に】
相続人の確認を法務局でも行ってもらえるため、より安心して遺産分割協議を行うことができます。 - 【取得費用は無料】
法務局での発行手数料はかかりません。
💡 【注意】取得するためには事前の準備が必要です
非常に便利な制度ですが、法務局に行けばすぐにもらえるわけではありません。申請するためには、前述した戸籍を全て揃えた上で、ルールに沿った「法定相続情報一覧図」を自分で作成して法務局に申し出る必要があります。
当事務所では、大変な戸籍の収集から、この法定相続情報一覧図の作成・法務局への申請まで一括して代行いたします。
遺言書がある場合の例外
以上の戸籍収集は、遺言書がない場合の取り扱いです。遺言書があり、全ての遺産の帰属が指定されている場合は、次のように簡略化できます。
遺言書がある場合に必要な戸籍
原則として、「被相続人の死亡の記載のある戸籍」と「遺言によって取得者と定められた相続人の戸籍」のみで銀行等の手続を行なうことができます。そのため、法定相続情報一覧図を取得すべき必要性も低いと言えるでしょう。ただし、一部の銀行等では全ての戸籍を求められるケースもあるようです。
戸籍収集後の手続
遺産分割、名義変更等
戸籍収集と法定相続情報一覧図の取得が終わったら、いよいよ本題の遺産分割協議と銀行等における手続です。
被相続人の財産・債務の調査
遺産分割の前提として、預貯金、不動産、自動車、株式などの有無と金額を調査します。被相続人に借金などのマイナスの財産がないかも書類等で確認し、必要に応じて信用情報調査を行います。
遺産分割協議と協議書作成
相続人全員で具体的な分け方を話し合い、合意内容をまとめた遺産分割協議書を作成します(全員の署名・実印・印鑑証明書が必要です)。
預金等の名義変更・解約手続
遺産分割協議に基づいて、預貯金の払い戻し、不動産の相続登記、自動車の名義変更などを行います。
忘れてはならない相続の重要期限
相続手続には、「相続発生直後に行う手続」以降の手続にも、法律で定められた重要な期限があります。期限を過ぎると不利益を被ることがあるため注意が必要です。
相続放棄(3か月以内)
借金などのマイナスの財産が多く、全ての財産を相続したくない場合は家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
準確定申告(4か月以内)
被相続人に一定の所得があった場合、税務署へ申告します。なお、被相続人の所得が公的年金収入400万円以下であり、かつその他の所得が20万円以下の場合は申告不要です。
相続税の申告・納税(10か月以内)
遺産総額が基礎控除額を超える場合、税務署へ申告・納税します。【詳しくはこちら】
分かりにくいお金の取扱い
【年金・給付金・還付金】
相続財産?相続税の課税対象?
受給権者が亡くなった後に相続人が受け取る「未支給年金」や、遺族のために支払われる遺族年金や労災給付、高額療養費の還付金などは、相続財産に含まれるのか、相続税の課税対象に含まれるのか、といった取扱いが分かりにくいものです。相続財産に含まれるにも関わらず独り占めした場合、他の相続人との間でトラブルになり得ますし、相続税の課税対象であるのに申告しなかった場合、ペナルティが課されることにもなり得ます。
これらの年金・給付金等の取扱いについては、以下のページで詳しく解説しています。